Oil rises on Middle East supply worries

世界の石油の約5分の1が通るホルムズ海峡で、船舶の通航が減り、原油価格が1バレル110ドル前後まで上昇しました。イラン側はタンカーが機雷に触れて炎上したと発表していますが、船名や被害を独立に確認できる情報は見当たりません。事実が確定しない段階でも、海運の不安定化は供給リスクとして市場に影響します。

攻撃の報告と機雷発表は、分けて見る必要があります

英国海事貿易業務(UKMTO)と合同海事情報センター(JMIC)の10月18日付報告は、10月16日にサウジアラビア北東沖でタンカーが正体不明の飛翔物に当たり、18日にはホルムズ海峡でタグボートが飛翔物2発を受けたと記録しています。タグボートには損傷があり、乗員1人が軽傷を負いました。

同報告によると、10月14日までの週に海峡を通過した船舶は254隻で、2025年の平時水準を約70%下回りました。一方、報告書には対象や集計方法の異なる通航数も記載されています。数字を単純に並べて、実際の通航量を一つの値にまとめることはできません。

10月20日、イラン革命防衛隊海軍は、イランの規則に違反したタンカーが海峡南方で機雷に触れて炎上したと発表したと、Reutersが報じました。しかし、船名や被害の独立確認は今回参照できた資料では得られていません。JMICの10月18日付報告は、10月17日の別のイラン側主張を「裏付けがない」としていますが、20日の発表より前の資料です。したがって、これを20日の主張への評価として扱うことはできません。

供給の「量」だけでなく、運ぶ不確実さが価格を動かす

米エネルギー情報局(EIA)によると、2025年上半期にホルムズ海峡を通過した石油は平均で日量2,090万バレルでした。世界の石油液体燃料消費の約20%に相当し、そのうち原油・コンデンセートの約89%はアジア向けです。サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)のパイプラインには迂回能力がありますが、合計で日量約470万バレルと推計されています。海峡経由の輸送をすべて置き換えられる規模ではありません。

Reutersによると、10月21日午前0時22分GMT時点のブレント先物は1バレル109.64ドルでした。前日には一時111.99ドルまで上昇しています。Reutersは中東の供給懸念に加え、紅海の航行リスクやサウジアラビアの石油施設への脅威も価格上昇の背景として挙げています。これは特定の攻撃が確認されたことと同じではありません。船舶の安全、保険、航路変更などへの懸念が重なり、供給が滞る可能性を価格が反映していると見るべきです。

米国によるイラン港湾封鎖の執行と、イラン革命防衛隊による船舶監視・航路変更への圧力も、JMICの報告に記されています。双方の行動が続けば、船主や保険会社にとって安全な運航の判断は難しくなります。実際の輸出量がどう変わるかとは別に、航行の不確実さが輸送費や調達条件を押し上げる可能性があります。

日本の備えは、調達先だけでなく輸送経路にも及ぶ

Reutersによると、日本は2025年に原油輸入の94%を中東に依存し、中東産原油の93%がホルムズ海峡を通過しました。日本政府は10月13日、調達先の多様化や代替ルート利用時の輸送費補助、保険支援などを可能にする法案を臨時国会に提出する方針を示しました。ただし、これは閣議決定と提出方針の段階で、報道時点では法律として成立していません。

代替調達は、産地を切り替えれば済む話ではありません。輸送距離や費用、保険、供給の安定性も伴います。政府の支援策がどの航路・事業者を対象にし、費用をどのように負担するのかは、法案の審議で確認すべき点です。原油価格の上昇が日本のガソリン価格や物価にどの程度波及するかは、現時点の資料だけでは断定できません。

今回の焦点は、機雷被害の主張が真実かどうかだけではありません。攻撃の報告、通航量の減少、検証しきれない発表が重なるなかで、輸送の危険を誰が引き受け、費用を誰が負担するのかです。日本のエネルギー安全保障を測るには、原油の調達先に加え、代替ルートの実効性と輸送・保険コストを見ていく必要があります。

参考

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