TBS日曜劇場『VIVANT』シーズン2では、敵対組織「シンシー」や拷問、銃撃戦の描写が議論を呼んでいます。焦点は、暴力表現の強さだけではありません。現実の中国を連想させる設定が、物語上の敵役を超えて、国や人々への印象にどう作用するかです。
批判は「暴力」と「現実の中国」の二方向
Record Chinaが伝えた微博上の批判では、拷問場面などを理由に「中国を貶めている」とする意見が出ました。ただし、これはフォロワー約164万人とされる特定アカウントの見解で、中国全体の反応とは言えません。同記事は、作品を突飛なフィクションとして冷静に受け止める声も紹介しています。
日本国内でも、Smart FLASHが第19話の拷問や第20話の銃撃戦について、暴力表現や中国側組織の描かれ方、演出の現実感を疑問視するX上の反応を報じました。一方、朝日新聞GLOBE+によると、中国在住者らの間には、組織名や中国語・所作の不自然さを指摘する声と、先の読めない展開を楽しむ視聴者の双方がいます。個別の取材や投稿は、視聴者全体の代表とは限りません。
「国を描く」物語に必要な距離感
東洋経済オンラインの論説委員長・西村豪太氏は、実在する中国を敵役として明示する点を論点にしています。架空の組織であっても、現実の国名や文化を重ねれば、視聴者は物語を現実の国際関係と結び付けて読みます。娯楽作品に現実の政治を描く自由がある一方、特定の国の人々を単純な悪役として固定していないか、表現の設計が問われます。
BPO青少年委員会の議事概要には、国の秘密組織を描く連続ドラマの暴力・拷問表現への意見が記載されています。ただし番組名は明記されておらず、『VIVANT』と特定されたわけではありません。弁護士ドットコムは内容から続編とみられると報じていますが、ここは推定として扱う必要があります。
作品の評価と議論を分けて考える
『VIVANT』は第21話まで高い視聴率を保ち、物語への関心も続いています。しかし、数字の大きさは表現への賛否を代弁しません。批判をただちに「中国全体の反発」とみなすのも、フィクションだから問題ないと片づけるのも早計です。具体的な場面、演出の意図、受け手の多様さを分けて検討することが、作品をより深く見る手掛かりになります。
参考
日曜劇場「VIVANT」に中国で批判=「中国を徹底的に貶めている」「これが日本のヘイト教育」 – ライブドアニュースTBS日曜劇場「VIVANT」の内容に、中国のSNSで批判の声が上がった。微博の人気アカウントは中国を貶めていると主張し、強硬な対応を求めた。一方、ス…ライブドアニュース
『VIVANT』銃撃戦、ハッキング…シーズン2で指摘される作りの“粗さ”中国敵視あおる“拷問演出”には批判も – ライブドアニュース10月11日に放送されたTBS日曜劇場『VIVANT』第20話の内容が、波紋を呼んでいる。「堺雅人さん演じる、主人公の乃木憂助を中心とするチームが、宿敵で…ライブドアニュース
中国舞台のVIVANT2が現地で話題「シンシーはありえない」ツッコミ入れつつネット盛況:朝日新聞GLOBE+TBS系のドラマ「VIVANT」シーズン2では中国を舞台に裏組織が暗躍する展開に。中国を知る人にはどう映るのか。中国在住の日本人実業家や、現地のネッ…朝日新聞GLOBE+
TBSドラマ『VIVANT』への熱狂と日中対立の奈落、中国を実名で敵役にしてしまう「空気」の危うさ大ヒット中のTBS系ドラマ『VIVANT』では中国が実名で敵役に設定されています。背景には日本社会の対中不信と安全保障意識の変化が。エンタメの中での…東洋経済オンライン第293回 | BPO | 放送倫理・番組向上機構 |bpo.gr.jp
